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​徘徊俳界2ーバーチャル吟行

installation-2016

share ofiice gallery mag/Akita

「吟行」とは、詩歌を作るために景色の良いところや名所・旧跡に赴くことをいいます。つまり、俳句を読むために、旅に出るということです。多忙な日々を送るなかでは、一人気ままに旅に出ることに憧れるのではないでしょうか。そんな漂白の思いを抱きながらも、実際に旅に出ることは容易ではありません。そこで、Google翻訳というメディアを用い、バーチャル吟行を行うことにしました。

本展では、HISやJALなどの既存の世界旅行ツアーを基にして、5度に渡って妄想世界旅行へ出かけた記録を映像や手記、写真によって展示しています。旅に携える俳句を選び、Google翻訳で赴いた国の公用語に変換を繰り返し、帰国とともに日本語へ再変換することで、俳句は意味が歪み、全く原型と異なるものに変化します。その言葉を、現地でバーチャルな自分が詠んだ俳句として手記にまとめ、旅の感想を捏造しています。妄想することで、作者自身の旅は始まるのです。

また、制作過程では実際に街へ出かけて「秋田市の異国」を求めて徘徊する様子を写真に収めています。手記には、そこで撮影された写真や架空の航空券、ミュージアムチケットなども添付されています。元の俳句とGoogleのサーバーを経由した言葉、実際の異国と秋田市の異国など現実と妄想の間に現れるズレが、バーチャル吟行の軌跡なのです。

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