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この展示は、秋田公立美術大学附属高等学院での同窓生高橋瑠奈による企画の二人展です。「月と花」という展覧会名/テーマは、お互いの名前から引用されたものです。

 

 高校時代から工芸作品を制作する高橋は、主に錫という金属を用います。彼女の作品の特徴は、「和紙のテクスチャをつける技法」「金属を縫う刺繍のような細工」にあり、本展における制作物は、彼女の制作における特徴や錫の魅力が存分に生かされたものになっています。ライトに反射する錫の表面は、輝く月を連想させます。

 

 後藤の作品では、「花」というモチーフに対する人々のステレオタイプで低解像度なイメージが、携帯電話の絵文字や大量生産のシールを用いて表現されています。生け花や絵画の花々は、カニが花器に活けられていたり、枝からパンジーが咲いていたりと、よくみるとどこか破綻しています。

 種類様々、咲いては枯れるを繰り返す花は、宇宙にたった1つ毅然として存在する月とは対照的な存在と言えるのではないでしょうか。地球上に実際に植生する花々の無数の儚い生命、日々どこかで改良・添付・拡散・削除されインターネットを流転する絵文字。どちらも、私たちが気がつかないようなささやかさ、速度で生死が繰り返されているのです。

 

 高橋と後藤は同窓生/作家という同志でありながら、親しい友人関係にあります。大量生産できない手工芸品、コピー&ペーストの絵文字と大量生産品のシール、ひいてはその作者である二人。混ざり合わないこれらが本作で交差することは、まるで天高く手に届かない月と、人々の足元で小さく揺れる花のような遠い距離のもの同士が並列するかのようです。本展「月と花」は、単なるモチーフとしてだけでなく、二人の関係性と密に接しています。

​二人展 「月と花」

exibition -2018

​渋谷space WAIZE

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